笑顔
「やっと終わった・・・・・」
「ご苦労様です、殿」
「トマもお疲れ。怪我しなくてよかったな」
「いえ、殿のお力のおかげです」
「そんな褒めなくてもいいのに」

は照れたように笑った。
トマも笑う。
任務も無事に終わった。

さんのおかげですよ。俺たちが無事なのは」
「そんなに褒めるなって。俺別にたいしたことやってねぇし」

探索部隊の者達が次々にのそばに集まってくる。口々にへの礼の言葉を言う。
本当には何もしていないのだ。ただ自分の仕事を行っただけにすぎない。
それにただは守りたかっただけなのだ。

「オレ、誰かの笑顔を失わずにすむならこんなこと軽いもんだって」

の守りたいものが、手から零れ落ちないのならばそれで十分。
だけではないだろう。きっとこの世界を守るために戦っている者達全員が守りたいもの・・・・・・笑顔。
それを守るためならば、どんなに危険な任務だって行く。
いつだったか、誰かが言っていた。

「私にとっての世界は私を取り囲む全ての人たちなの。その全ての人の笑顔を守るために私は戦っているのよ」

そう言って彼女は笑った。今はもう昔のことだ。

「わかってるさ。お前の意志を俺は受け継いでいるんだから」

「ねぇソルディア、いつかこの世界から争いがなくなって笑顔が増えるといいわね。そう思わない?」

「思うさ、だから俺もお前と同じように戦っているんだ」
さん?」
「なんでもない。帰るか」
「はい」

は歩き出した。後ろから探索部隊もついてくる。
それぞれの顔にはが守りたい笑顔があった。

永遠がほしいとは言わない
ただ俺が見たいのはみんなの笑顔だけだから
大事なものがほしいとは思わない
俺にとってすべてが大事で
何かを決めることなんて出来ないから