待ち人
「・・・・どうしたんさ、コムイたちが心配してた」ラビが薄暗い部屋に入ると直ぐ近くで落ち込んだ声が聞こえてきた。
「だってラビったらまた長期任務でしょう?顔合わせたらきっと行かせたくなくなるから」
ラビはその言葉を聞いて急に笑いがこみ上げてきた。
部屋の電気をつけて、扉の近くにうずくまるようにして座る恋人を見た。
「、寂しいんだ」
「・・・・・・・・」
はラビから顔をそらした。
「可愛いさvv」
「・・・・・・・・」
は何も言わない。ラビは優しい笑みを浮かべるとそっとを抱きしめた。
「俺はどこにいたってのところに戻ってくるさ。俺の戻ってくる場所はここだけなんだから」
「ラビ・・・・」
はラビを抱きしめ返してきた。
ラビはそっと耳元で囁いた。
「愛してるさ・・・・・・・絶対にすぐに帰ってくるから・・・その時は俺を一番に出迎えて?」
「うん・・・・・」
「じゃっ、行ってくるさ」
ラビはの体を離し、部屋を出て行こうとする。
「まっ、待って」
出て行こうとしたラビの歩みが止まった。は自分の耳をいじっている。
「こっこれ!私のお気に入りのピアスよっ絶対に返しにきて・・・・・」
ラビは差し出されたクロスのピアスを呆然と見ていたがやがてフッと笑みを浮かべるとそれを受け取り、自分の首にかけてあったペンダントをの首にかけた。
「それ、オレの宝物。絶対に取りに戻ってくるからそれまで持っててくれさ」
そう言って優しく額に口付けるとは真っ赤な顔でうなずく。
ラビはバイバイと手を振って任務へむかった。はシュンとして部屋の中へ戻った。
それから三日経った科学班・・・・
「ラビ、帰ってくるの遅い!」
"悪いさ・・・・・・ちょっとてこずってて"
「のことわかってる?」
"わかってるさ・・・・・今だって飛んで行って抱きしめてやりたいくらいだから"
ラビの声にリナリーは怒る声を落とした。ラビもに会いたいのだ。
"すぐに戻るさ。長期なんていわずに短期で帰るさ。に伝言していい?"
「かまわないわ」
"んじゃ、絶対にピアス返しに行くからって。だから待ってて"
「わかったわ。本当に戻ってきなさい」
"大丈夫さ"
それからさらに三ヶ月ほど経って・・・・・
「・・・・・」
「嘘つき・・・・・すぐに戻ってくるからって言ったのに・・・・・」
「・・・・・・・・確かに。遅いわね。ラビ、に会うためだったらどこからでも戻ってくるのに」
リナリーはそっとの体を抱きしめた。
「きっとすぐに戻ってくるわよ。ラビのことだもの、きっとへのお土産を買って遅くなってるのよ」
「うんだよね」
は涙目で笑った。リナリーはお茶を淹れてくるね、と言って部屋を出て行った。部屋を出ると小さな溜息をついた。
「ラビのばか・・・・・・」
「それってひどくないさ?」
「えっ・・・・・」
リナリーが顔をあげるとラビがキョトンとした顔でたっていた。あちこちが傷だらけで、痛々しい。
「リナリー、は?」
「ラビ・・・・・・それよりも怪我・・・・」
「ん?大丈夫さ。それよりも」
「なら・・・・・中」
「そっか。わかった」
ラビはそう言って部屋の戸をあけた。はベッドに倒れこんでいる。ラビが小さく笑いをこぼした。
リナリーを見るとラビは笑う。リナリーはそっと部屋からはなれていった。
「ラビバカ・・・・・・絶対に戻ってくるって言ったんだから・・・生きて戻ってきなさいよ」
「戻ってきたさ、。だから顔をあげて」
「・・・・・・・・・ラビ?」
ははじかれたように顔をあげ、そしてラビを見た。ラビはニコッと笑って手を差し伸べてくる。
「・・・・・・・・ラビッ!!」
はラビに飛びついた。ラビはその体を受け止め、強く抱きしめた。
「ごめんさ、遅くなって」
「ばかぁ・・・・・すぐに戻ってくるって・・・・言ったのに」
「うん、ごめんさ・・・・・・」
はラビの顔を見た。直ぐ目の前に待ち望んでいた恋人の顔がある。
「ラビ・・・・」
「うん?」
「無事でよかった」
はラビの額にそっと口付けると笑った。
「今日の占いでね、"待ち人現る"ってあったの。嬉しいな、私の待ち人・・・・・無事な姿で帰ってきてくれた」
ラビはふとの胸元に光るペンダントに目を向けた。もラビの耳に光るピアスに気がついた。そして体中の怪我に。
「やっ!ラビ、怪我してるじゃない!!ばかっ、すぐ医療班に行かないと!」
「ん〜こんなのに会ったら治ったさ。それよりも今は・・・・・」
そっと開かれた胸元に口付け、赤い華を咲かせる。の顔が真っ赤に染まった。
「が欲しい・・・・」
「やっ・・・・・・・・んぅ」
優しい愛撫にの体が火照る。
ラビと視線が合うと深い口付けを交し合った。そしてそのままの体はベッドに倒れこむのであった。