コムリン
その日は朝からコムイの実験室が五月蝿かった。
迷惑したのは彼の実験室の真下に部屋があるである。今はリナリーの部屋に避難していた。
「なに造ってるんだろうね」
「すごく嬉しそうに笑っていたから・・・・・・多分ろくでもないものだと思う」
「リナリーも大変だね、あんなのがお兄さんで」
「ん〜〜」
リナリーは苦笑した。まぁ、それはそれで困る。
第一あんなのでもこの教団の室長なのだ。科学班に所属するの上司になるのだ。
としてもあんなのが上司だと知っていれば即刻別の支部への移転を申し出ただろう。それでも少しだけ彼が上司でよかったというのもある。
も素直じゃないんだね」
「なっなにが・・・・・」
「本当は兄さんのことが好きなくせに」
「ななな、なんでどっからそんな根拠ないことが?!」
「見てればわかるって;;」
リナリーは苦笑してを見た。は顔を真っ赤に染めてリナリーを見る。
そうなのだ、生意気でわがままな上司のことがは好きだったのだ。いまだ恋人同士、というわけではないが・・・
「まぁ頑張って。のこと応援するから」
「うん、がんば「ギャーッ!!」えっ?!」
突然響いた悲鳴―しかもその悲鳴はちょうどコムイの実験室あたりから聞こえ、その悲鳴の主は科学班のものだとわかる。
は立ち上がるとリナリーの部屋を出て行った。リナリーもあとを追う。
「何があっ?!!」
は科学班に駆け込みそして愕然とした。
「コムイ室長!!何やってるんですか!!」
そこには巨大なロボがいた。それが暴走しているのか科学班を荒らしている。
「あっvvみてみて、すごいでしょ、新しいコムリンV号だよ」
「さっさと止めてくださいっっ教団を壊滅させる気ですか!!というか瞬殺されたくなければ止めなさいっ!」
「なんで?これ、のためにつくったのに」
「えっ?」
は驚いてコムイを見た。コムイは微笑んで腕を広げる。
「いつも大変な思いをさせている君のために、少しは便利になるかなって思って」
「コムイ室長・・・・・そんな私のために・・・・・・・・・・・・・・って言うかぁぁぁぁぁ!!!
バンッと分厚い本がコムイもといコムリンV号にむかって投げつけられる。リナリーがあーあという顔をして様子を見ていた。
本は見事にコムリンV号にぶち当たり、パチパチと火花を散らす。よろよろと動き始め、科学班の外へ出て行く。
ちょうどそこを通っていたアレンにぶち当たり転ぶ。リナリーはプチッという音を聞いた。
「あっあぁ・・・・・・僕の・・・・・僕のみたらし(団子)が・・・・・!!」
ブゥンッと音をさせて彼のイノセンスが発動される。
「僕のみたらしを落とした悪いやつは誰だぁ〜〜〜(ナマハゲ風に)」
ぎゃーーーーっコムリン〜〜〜〜!!
アレンのイノセンスがコムリンV号を真っ二つに切り裂く。アレンは満足したように鼻をならした。そしてクルリと身をひるがえすと元来た道を戻っていく。
恐らくはまたみたらし団子をジェリーに作ってもらいに行ったのだろうと予測される。
リナリーとはコムリンV号(だったもの)を見て溜息をついた。とりあえず壊滅は免れたがこれをどうにかしなければエクソシストたちが任務報告にやってこれない。
「コムイ室長(兄さん)、これを片付けてください」
「はぁい(泣)」
コムイはえぐえぐと泣きながらコムリン(の残骸)を片し始めた。
ちなみにこれは余談だがその後、とコムイはどういうわけか恋人同士になったという。リナリーは苦笑していた。
「結局兄さんも悪気があったわけじゃなかったのよ。ただ前と同じように珈琲を飲んじゃっただけで・・・・・・」
「進歩してない(さ)」
その話を聞いていた者たちは誰もがそう呟いたという。
「コムイ室長」
「うん?」
「私のために何かしてくれるのはいいんですけど、皆に迷惑をかけるようなものは造らないでくださいね・・」
「うんわかった」
『本当に分かっているのか、この人は・・・・・・』
は何が嬉しいのかはしゃぐコムイを見て小さく笑みを漏らした。
『まぁ私はそれでもコムイ室長が好きなんだけどね・・・・・・・』
結局のところコムリンV号のおかげで両思いになったのだ。そこだけは感謝しておこうとは思った。
―っ!」
「はい?」
「見て、ミニコムリンvv」
「少しはこりんかい!!」
今日もまた科学班ではコムリン騒動が起こっていた。