は神気の波を感じ取り後ろへと飛び去る。
直後門の上にいたシュンの姿が神気に飲まれ消える。はその波動の余波を受け後ろへと体勢を崩す。
後ろは階段。そして闇。
「うわっ・・・・・《
とんっという軽い衝撃のあと、の体は受け止められていた。
顔を上に向ければ見慣れた仮面。
「あっ緋乃・・・・ごめん《
「いえいえ。それよりも大丈夫でしたか?《
「うん。ちょっと力を暴走させすぎたみたいで頭くらくらするけど《
「あとで燎流さまとさまにお叱りを受けますよ《
「・・・・・・・・・・ありえそう《
緋乃は軽く笑うとをうながした。
二人は貴船の本宮へと入っていく。貴船の祭神、白銀に輝く龍神がそこにはいた。
思わず膝を突きたくなるような神々しさがあった。が、は平然、むしろ半ばめんどくさそうな顔で龍神を見た。
「高於・・・・《
龍神がをむいた。
“・・・・・遅い”
「やっぱそーきたか・・・・・《
「そう、とは?《
「いや、実は高於とは旧知というか、赤ん坊の頃からの知り合いで・・・・なんとなく貴船の様子が変だなってのは感じたいたのよ。でも高於がいるからなんとかなるでしょ的な感じでいたら封印されていて・・・・・高於のことだから開口一番“遅い”っていうだろうなって・・・・・・・・《
そう言いつつは本宮の気配を探る。
紅蓮の結界があった。その前に鶚が翼を広げている。
は完全に気配を立って鶚の背後に歩み寄った。そして背後に立つと笑みを浮かべて狭霧丸を横に薙いだ。
鶚の胴体が真っ二つになる。死の間際、鶚は嘲笑をあげた。
が怪訝そうな顔をして紅蓮の背後を見る。そして硬直した。紅蓮もの様子を見て背後をうかがう。
そしてその直後だった。
螢斗と翡乃斗が結界を張ったおかげでは全身大火傷の惨事は免れた。が、が無事でも昌浩が無事ではない。
倒れ臥したその場所から赤い池を作り出す。彰子は自分の懐剣片手に気絶していた。
「呪いか・・・・・《
「、どうする《
「緋乃、行ける?《
「もちろんです《
「ならい・・・・・ぐっ《
は突然痛みに顔を歪ませて右腕を押さえた。
右腕が変形しかけている。圭子の霊を体に戻し、邸へと帰ったが騰蛇の神気の爆発を感じて戻ってきた晴明、及び神将たちは絶句する。
「!《
「だいじょう・・・・・・《
“神気だ!騰蛇の抑制なしの神気に鬼の呪いが反応しているんだ”
は地に臥して苦しみ始めた。
鬼の呪いが体中を駆け巡り、を殺そうとしているのだ。
の口から絶叫がほとばしる。騰蛇の絶叫と重なっていた。
緋乃ははっとして炎の中に倒れる昌浩と彰子を見た。そしてを見て、炎の中に飛び込む。
の右腕が上自然に脈動をうった。
「ぁつ・・・・・《
の体が崩れ落ちる。
「・・・・《
「大丈夫・・・・・・今ので終わりだから・・・・・ほんと、大丈夫。緋乃は・・・・《
の目が炎の中にむいた。
「よかった・・・・・昌浩たちを守ってくれてる・・・・・・・・・・・螢斗、翡乃斗?《
の瞳が炎から二人の式へとむかった。
彼らは何も言わずに立っている。は上自然な気の流れを感じた。
「ちょっと・・・・・《
どうしたの。
がそう尋ねようとした矢先のことだった。
二人の体から神気の渦が巻き上がった。
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