夢の終わり
翌日、瀞霊廷に旅禍が侵入。日番谷はの姿を見なくなった。「いやぁぁぁぁぁ!」
瀞霊廷に雛森の悲鳴が響いた。駆けつけた者達が見たのは赤い血の滝と虚ろな眼をした藍染の死体。
さらにの部屋からは藍染を自分が殺した、と書かれた手紙が見つかった。
そのことを後で知った日番谷は愕然とした。
「が・・・・・・なんで」
しばらく経ち、藍染が生きていること、それから彼の裏切りも発覚した。
「を・・・・どうした」
「・・・・だから言っただろう?何があるかわからないから彼女を守ってあげないといけないよ、と」
藍染は二人の裏切り者―市丸ギン、東仙要―とともに捕まっていた。
周りには大勢の死神がいる。
「をどうしたっ!」
日番谷はそう叫ぶ。しかし藍染は何も答えない。
と、三人を捕らえていた死神たちの体が吹き飛んだ。
「藍染様、邪魔者の駆除終わりました」
「ご苦労様、」
その名を聞いて日番谷以下全員が唖然とした。
少し短めの髪を一つに結わえた小柄な・・・・・・・
「っ!」
日番谷が名前を呼ぶとゆっくりとがふりむく。
着ているものは隠密機動のそれ。穏やかな光を宿していたはずの瞳は何も映してはいなかった。
「、最後の命令だ。愛しい君の恋人を殺すんだ」
「はい、藍染様」
は刀を抜いて日番谷にむかってくる。紫苑の瞳はくすんでいた。
日番谷は恋人に手をあげられなかった。
「日番谷君、恋人に殺されてしまうよ」
藍染が面白そうに言った。
藍染の言葉と同時に空が割れ、無数の巨大虚が出てくる。そして藍染、市丸、東仙を光が包み込んだ。
「時間だ・・・・・」
藍染がそう言うと同時にの体が崩れ落ちる。
日番谷がその体を抱きとめた。
「そうだ、日番谷君、すまないね。先に君の声を聞いてしまった」
「てめぇ・・・」
「怒るよりも感謝してもらいたい。君の声を戻したのだから」
藍染たちが巨大虚たちと消えた後、日番谷が意識が目覚めたのそばにいた。
「大丈夫か?」
は何も答えない。
「・・・・・・」
「あなた・・・・・・・誰?」
「何いって・・・・」
は怯えたように日番谷から後ずさった。
「俺を・・・・忘れたのか?」
日番谷はいたたまれなくなってを抱きしめた。
は暴れて抵抗した。そして抵抗しながら、自分を抱きしめるのが隊長であることに気がつく。
「あっ・・・・」
の体から力が抜けた。
自分が隊長に抱きしめられていることにいっきに緊張のパラメーターが振り切れたのだ。
「卯ノ花、こいつを」
日番谷は四番隊にを預けるとそこから離れた。
旅禍騒動からしばらく、四番隊からの意識が目覚めたと連絡が入った。
日番谷は四番隊へむかい、案内を受け、の部屋へとむかう。
「・・・・・」
はベッドの上でぼんやりと上半身を起こしていた。
日番谷はに近寄っていく。
「・・・・・・」
日番谷はの体を抱きしめた。今度はもう抵抗はない。
それもそのはず。はショックで何もかもを忘れてしまったのだ。
愛しい恋人であるはずの日番谷のことも親友の雛森のことも、今まで培ってきた思い出の数々も・・・・・
そして言葉も・・・・・
「お前のことを今度こそは必ず守る・・・何があっても絶対だ」
「・・・・・・・」
「だから・・・・・いつか・・・・・・いつか必ず俺のことを思い出してくれ」
そっと触れるだけの口付けを交わし、日番谷は部屋を出て行こうとする。
後ろを向いた日番谷の背にの視線が注がれた。
戸口に向かって歩き出す彼の背をベッドから降りたがそっと追う。彼女の手の中には銀色に光る何かが握られていて・・・・
「じゃぁ・・・・・・?!」
ザシュッという音が部屋に響いた。
白い部屋は一瞬にして紅に染まる。は感情のない眼で血の水溜りを見下ろした。
そして自分の手の中にある血に濡れた短刀を見た。
「・・・・・・・・冬獅郎?」
小さく怪訝そうに恋人の名を呼んだ。しかし応える声はない。
それもそのはず。既に愛しい彼は動かなかったのだから・・・・・・・
はその現実を突きつけられるといっきに恐慌状態に陥って叫びだした。
頭を抑えて声がつぶれるまで何度も何度も・・・・・・
叫び声を聞きつけて四番隊がくるまでは血の水溜りにしゃがみこんで叫び続けていた。
「日番谷隊長を自分が殺したという現実を見てのことでしょう」
四番隊隊長卯ノ花はそう言う。
は四番隊員によって鎮静剤を打たれ、ベッドに固定されて眠っていた。
喉はつぶれ、二度と声は出ないという。
「・・・・・・」
ベッドで眠っているの眼から一筋の涙が零れ落ちた。もう二度と声の出ない口が小さく動き謝罪の言葉を形作る。
『ごめんなさい』と・・・・・・
卯ノ花はが目覚めたとき、そばにいた。既には何があったのかを完全に忘れていた。
そして恋人がいたということも・・・・・
は卯ノ花との筆談でこう書いた。
『なんだか長い夢を見ていた気がします。大切な人がいて・・・・いつも笑っていて・・・・・声は出なかったけどやっぱり幸せだった。でも・・色鮮やかだった景色が紅に染まったら何か・・・・・壊れたような音がしました』
卯ノ花は優しくの手に自分の手を重ねた。
「そう、長い夢を見ていたのです。もう夢は終わり。あなたは元の生活に戻るのです」
『夢か・・・・そうかも知れませんね。夢の終わり・・・・卯ノ花隊長、私声が出なくてもやっていけるでしょうか』
「えぇ、あなたなら心配はないでしょう」
は笑顔でうなずいた。
卯ノ花は何も覚えていない、何もかもを夢の中へとしまいこんだ死神を悲しげに見つめていたのだった。
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まずは謝罪を・・・・・
ごめんなさい、冬華さん!
絵を書いてくださっているお礼にと書いた小説がこんなもので!!
シリアス、といわれたのに死ネタに・・・・・どこで間違った?
しかも原作とかぶって、でも原作じゃなくって・・・・・・
授業中にコソAと書いていたものなので雑になってしまいました
こんなものでも読んでいただけると幸いです
これからも宜しくお願いします!