雪に誓いを
は空を見上げていた。隣にはもいる。
「お二人とも、そんな薄着では風邪をひきますよ・・・・・」
後ろから柔らかな声がかかった。同時に二人は振り向く。
紫苑色の瞳が二人を見ていた。彼女たちの友人の祖父の式神だ(なんて遠い関係なんだ・・・・)
そして・・・・・の想い人でもある十二神将太裳だ。
「何かを待たれているのですか?」
「雪が降るのを・・・・」
「はやく降ったらいいのに」
「・・・・何故?」
二人は顔を見合わせた。太裳は首をかしげる。
「二人の誓いなの。ねぇ?」
「そうだな」
「?」
二人は顔を見合わせて笑った。太裳はそっと二人の後ろから空を見上げた。
灰色に曇った空は雪が降りそうな気配を見せているのに、中々降りはしないものだ。
「・・・・私たちがした誓い、いつかわかるわ、太裳」
「あぁ。はやく・・・・はやく雪が降ればいいな、?」
「そうね、
二人はクスクスと笑っている。
太裳も笑顔を浮かべた。
「ではその誓いのためにはやく雪が降るといいですね」
が溜息をついた。は少し悲しげな顔をする。

それから数日後のこと。
っ!外を見てっ!!」
「・・・・・・・ん〜」
の声には眼を開けた。見ればが顔を覗き込んでいる。
かなり嬉しそうな顔だ。というかめちゃめちゃはしゃいでいる。にせかされながら、は外を見た。
「・・・・・・あっ」
外を見た途端、を思いっきり振り返った。は、ねっねっ?と嬉しそうに顔を輝かせる。
外は一面真っ白。空は真っ青だった。
「雪かぁ・・・・よかったな、。やっと願いが通じたんだな」
「うんっ!」
は急いで着替えると邸を飛び出していった。
嬉しそうにかけていくその姿は雪面を走る兎のようだ。
「やれやれ・・・・・」

安倍家でも太裳が少し嬉しそうな顔をしていた。
、よかったですね。雪が・・・・やっと降った」
私の想いも届いてくれるのでしょうか・・・・・
太裳はふとしたを見下ろした。誰かが走ってくる。雪面を走る兎のようだな、と思った。
「・・・・?」
太裳は今までいた邸の屋根の上から降りた。
フワリとその誰かの目に降りてくる。が驚いた顔をして太裳を見た。
「太裳!」
「どうしたのですか、。こんな朝早くから」
「・・・・・・・・・いえっ!えっと・・・・その」
は真っ赤になりながら、太裳を見上げた。
「太裳、ちょっと時間をもらえますか?」
「・・・・かまいませんよ」
そのほうが好都合ですしね。
とは言わずに、太裳は快くうなづいた。
二人は安倍家の邸から出て、少し歩き始めた。
二人が出て行ってしばらく、安倍家の晴明のもとに式文が届いた。
をよろしく頼む』
たった一言だけだったが晴明にはそれでじゅうぶんだった。
晴明は笑顔で式文を返した。
「かまわんよ、がそう望むのならば」

「太裳、ちょっと前に私と純があることを誓ったって言ったよね」
「えぇ」
「・・・・・・あの時ね、決めたの。逃げることをやめるって」
「えっ?」
は太裳の一歩前に歩き出した。
「嫌われたらどうしようって思ったの・・・・言ったら二度と元の関係に戻れないだろうから、だから私はあることから逃げていたの」
?」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・好きです、太裳。あなたのことが」
の穏やかな笑顔に太裳は驚いた表情をする。
桜花はそっと太裳に抱きついた。
「あなたが・・・・・・あなただけが好き」
太裳はに見えないところで小さく笑んだ。そしての腰に手を回す。
「・・・・・・・雪に・・・・雪に誓いを立てたのですか?」
「えぇ・・・・・」
「何故、と聞いてもいいのですか」
「・・・・あなたが雪みたいだから。あなたは雪のように私を優しい気持ちにしてくれる」
太裳はそっとの耳元で囁いた。
「・・・・・・・私も、あなたのことが雪のように思えます」
「えっ・・・・・・」
が驚いたような顔をした。
太裳はニッコリと微笑んでいる。
「・・・・・嘘じゃないですよ」
「・・・・・」
はポカンとして目の前の太裳の顔を見た。唖然として声が出ない。てか何もできない。
「好きです。・・・・・・あなたのことが・・・・」
「へっ?」
「そばにいてください・・・・私のそばに、時の許す限り・・・・・」
「・・・・・・・・・はい」
はギュっと太裳に抱きつく。太裳もちょっと微笑むとに抱きついた。

のもとに白い鷺の式神が飛んでくる。
はつぃっと手を伸ばして鷺を自分の腕に止まらせた。はそっと微笑む。
「そうか・・・・二人は上手くいったのか・・・・・それはよかった」
鷺は紙となり、純の手の中に落ちた。
そこには墨染で書かれた二人の姿があった。仲良く幸せそうな笑みを浮かべる、太裳との姿が・・・・
しかしそれと一緒に晴明の字で文字が・・・・・それを読んだの顔が唖然とした。
「『とうちの太裳の妻としてくれるかの?』って・・・・・・いや、だから頼んだんだろ、桜花を頼むって」
思わずそう呟いてしまったであった。

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暁 空様へ
いかがでしたでしょうか?
拒絶されないか心配で物陰からドキドキしながら様子を見ています|_・)
暁様のヒロインで書かせていただきましたが、こんな感じでしょうか(さらにドキドキ)
手直しなら快く受けますので、バシバシ文句つけちゃってください
それではまたのお越しをお待ちしております