甘い珈琲の淹れ方
「先生、今大丈夫?」「・・・・・・あぁいいぞ」
わたし、の担任、紅蓮先生の部屋はいつも珈琲の匂いでいっぱいだ。
先生は珈琲好きとして学校中に知られている。
そのためバレンタインはいつも珈琲味のチョコが贈られてきて、本人は少し困った顔になる。
チョコだけは普通の味がいいそうだ。
「先生、珈琲淹れて」
「、お前、部活は?」
「えへへ、今日ないんだ」
「わかった。じゃぁゆっくりしていくんだな」
「うん!」
学校や皆にはナイショだけど、私達は付き合っている。
私から告白した。"ネバーギブアップ"がモットーの私が何度も告白した結果紅蓮先生が折れた。
それから三ヶ月ほど、紅蓮先生との仲は好調だ。
「ほら」
「ありがとー♪」
私は机の端に座って珈琲に口をつける。
紅蓮先生の淹れてくれる珈琲が大好きだ。絶妙な苦さとミルクがいい味を出している。
私はカップに口をつけながら上目遣いに紅蓮先生を見た。先生は机に腰を掛けて書類を見ている。
「ん?どうした」
「なんでもない」
紅蓮先生は軽く首をかしげると自分の分の珈琲を飲む。
部屋中に漂う珈琲の香り。
私達二人の間を流れる静かな時間が好きだった。
「そういや今日・・・・」
紅蓮はふと机の上のカレンダーを見た。カレンダーの今日の日付の部分には紅い丸がしてある。
「・・・・・お前の誕生日」
「そうだっけ?」
「・・・・・・・お前自分の誕生日を言ってみろ」
「え〜っとですけど」
「今日の日付は?」
「・・・・・・あっ」
私の誕生日だ。何故だかすっかり忘れていた。
紅蓮は軽く溜息をついて私の頭をこづいた。
「悪い。プレゼント忘れた」
「えっじゃぁなんにもくれないの?」
「だから何が欲しいか言ってみろ」
「・・・・・・紅蓮が欲しい」
「ぶっ」
紅蓮は珈琲でむせていた。私に背を向けて咳き込んでいる。
そんなにおかしいことを言ったわけじゃないんだけれど・・・・
「なんでそんなこといきなり」
「だって教師と生徒だよ?いつまで一緒にいられるかどうかわからないじゃない」
「で」
「・・・・・ずっと一緒にいて欲しい・・・・・紅蓮が好きだから」
紅蓮は珈琲カップを机に置くと私のほうへ近寄ってきた。
その顔には優しい微笑が浮かんでいる。
「わかった。そのプレゼント、絶対に贈ってやるよ」
そう言うと同時に互いの唇が重なる。
苦い珈琲の味がした。甘党の私には少しばかりきつかった。
軽く紅蓮を見ると、紅蓮はそれに気がついたのか軽く笑った。
「そういえばお前は甘党だったな」
それじゃぁ、と呟くと同時に今度は深く口付けられた。
苦しくて、抗議しようと思っても声が出ない。
紅蓮はゆっくりと私から唇を放していった。
そして私の耳元で囁いた。
「今度はお前すべてを甘くしてやるから覚悟して置けよ?」
って・・・・・あぁ・・・・
私、やっぱり紅蓮が好きだ。
今プレゼントがもらえなくても、私は満足している。
だって紅蓮は私の一番傍にいてくれるんだから。それに私はあることを教えてもらった。
普通に淹れたら苦いはずの珈琲が甘くなる方法だ。
それを聞いて私が赤面したことは言うまでもあるまい。だって・・・・・・・
"恋人とのキスで甘くなるんだ"
なんて・・・・・・・できるわけないじゃない。
本当、紅蓮は教師であることが不思議なくらい。でも・・・・・・私は紅蓮を愛している。
とぉっても甘い珈琲よりも。
管理人が尊敬してやまない如月様へ
イラストのお礼がこんなへぼな小説ですみませんっ!
しかも内容はわかりにくくて(> <)
お持ち帰りくださると嬉しいです
それではまたお越しください。今度はもっと素敵な小説をプレゼントできるように頑張ります!