求めた代償
「〜!」 また来た、と俺は溜息をついた。 振り向けば、ラビが近寄ってくる。最後に会った時よりも大人びていた。 ラビは俺のもとにやってくると嬉しそうに破顔した。 「久し振りさ」 「十年だもんな」 「は変わってないさね〜」 褒められているのかそうでないのかわからない。 「何の用だ?」 「つれないさぁ、俺頑張って任務終えてきたんさ」 「で?」 「、会いた「俺は会いたくなかった」 ラビは俺の言葉に撃沈した。 俺は苦笑して、歩き出す。ラビもすぐに追いついてきた。 生意気なことに俺よりも頭半個分低いだけである。 本当にナマイキなヤツ。 「ラビ、ちっこいの」 「俺、もうちっこくないさ?」 身長だって伸びたし、と呟くラビ。 俺から見たらラビはいつでもちっこい。 「いーんだ、ちっこいのはちっこいで」 ラビの頭に軽く指弾食らわせた俺は部屋にむかって歩き出す。 背後でラビが何か言っているのがわかったら、とりあえず無視する。 部屋に戻ると一通の封書があった。 「・・・・・動くか」 俺は封書の中身を読んで笑う。 横を向いてベッドの下に光るものをみつけた。 取り出してみるとカメラだった。どうやら主のいない部屋を録画していたらしい。 何が面白いんだか。 「・・・」 俺は元のとおりにカメラを戻し、気配を完全に絶った。 しばらくして一人の男が入ってくる。 男は俺に気がつかず、カメラを取る。俺はその瞬間を狙って力をかけた。 男は一瞬で肉塊になった。俺は血溜まりの中に立ち、笑みを浮かべた。 血はおれを満たしてくれる。 「ひぃ・・・・・っ」 女の悲鳴に部屋の入り口をみれば、一人の科学班が腰を抜かしている。 俺はそれを放っておき、血溜まりに触れた。指についたまだ暖かい血をそっと口に入れる。 鉄臭が広がった。 「・・・・・・?」 「お前なにを・・・」 ラビのほかに神田とアレンもいた。驚いている。 「まぁちょうどいい。エクソシストも殺せば千年公も喜ぶ」 「千年・・・・・公だとっ」 「そう・・・・・俺はノアの一族が一人、時雨。お前たちの敵だよ」 そう言った瞬間のラビの顔はみものだった。何かに裏切られて、切り刻まれたようなそんな顔。 背筋がぞくぞくした。 俺は力を使ってラビやアレン、神田たちを死なぬていどに潰す。 「・・・っっ」 「ラビ、だからお前はちっこいって言うんだよ。浅はかなんだよ」 笑って言う。と、ちょうどよく背後に扉が現れた。 俺の双子の姉が出てくる。 「、終った〜?」 「もちろん。ロードも終ったな?」 「もちろん。ほらぁ、早く帰ろうよ」 ロードはの首にしがみつく。 は笑顔でロードの頭を撫でた。 「じゃぁな、ラビ」 「、どこに行くさ」 「もちろんHOME。俺の本当にいるべき場所」 はロードを離すと、ラビのほうに近寄ってきた。 ラビはいまだに重力をかけられたままを見上げる。 はラビの耳元に唇を寄せてささやいた。 「お前はばかだよ、ラビ」 「・・・・・」 「俺のことを、好きになる必要はなかったのに」 そう好きになる必要はなかった。 のように、その両手が血だらけのものなど愛する価値もないのだ。 「でもな」 小さく言葉を呟いてはラビからはなれていく。 扉に入る最後の一瞬。ふりむいたのめにラビの顔が映った。 求めたから別れなければいけなかった ごめんな、ラビ 愛してくれてありがとう 俺も愛してる