はゆっくりと目を開けた。そばに夫である燎琉の笑顔が見えた。


「おはよう、。今日は君に紹介したい人がいるんだけど」

「紹介したい人・・・・人?」

「あぁごめん、禁鬼だ。おいで二人とも」


燎琉の声に部屋に二人の鬼が姿を見せた。

細く繊細な角を持った紅と銀の鬼。

は軽く目を瞠った。


「禁鬼緋乃と弓狩。君の護衛だよ」

「我が名は緋乃。焔を操る鬼でございます」

「我が名は弓狩。風を操る鬼でございます」


は燎琉を見上げた。


「彼等の力がいつかきっと必要になる。それに強いからね、何があっても大丈夫だよ」

「・・・・・はい」



「産まれたか・・・・・」

「えぇ・・・・元気な女の子ですよ」


月読は水盆を天照に見せる。それを覗き込んだ天照はふっと笑った。


「そうか・・・」

「それにしても兄上・・・面白い時代に産ませましたね」

「この頃が一番よかろう」

「・・・・えぇ」



「私は小野。あなたは?」

「安倍ともうします」

「安倍・・・・・・あっ、私が居候している家の!!」

「はい」


はにこっと微笑んだ。

はびっくりして口をあけたままである。


「父様がいつもお世話になっております」

「・・・・・・ま、まさか・・・・・」

「は安倍晴明の第一子だよ」

「やっぱりぃぃいいい;;」


頭を抱えて叫ぶのそばから禁鬼たちが優しく見守っていた。






小野

安倍

天津神輝津薙命

妖狐氷珱

閻羅王太子燎琉

天津神天照大御神

同じく月読命


暁に唄われる禍物の唄

寂しげな声が紡ぐ螺旋の物語は

まだ始まりを告げたばかりである